歯痛がひどいblog

とくに歯痛については書きませんが日々歯痛に悩まされる人が書いているブログです。たぶんアニメとか読んだ本の感想が中心になってくると思います。

プロデューサー回として観るアイドルマスターシンデレラガールズ20話、感想

アイドルマスターシンデレラガールズ20話、「Which way should I go to get to the castle」が放送・公開されました。

あらすじ(公式HPから引用)

美城常務が新企画をスタートさせた。
『Project:Krone』
それはアイドルの中から美城常務が直々に選抜したメンバーによるプロジェクトだった。一方シンデレラプロジェクトは突然、346プロダクションの秋フェスで実力を審査すると告げられていた。そのライブで実力が認められなければ、冬の舞踏会を待たずに部署の解散が決定してしまう、と いう通告に動揺するアイドルたち。混乱が広がる中、凛とアナスタシアがProject:Kroneに選ばれてしまい……!?

ブログの構成はこんな感じ。

  • プロデューサーと美城常務の19話までの対立構図
  • 利己的な人物として描かれるプロデューサー
  • 二項対立構図の変化
  • プロデューサーを導くアイドル
  • 笑顔が失われない場所
  • 島村卯月と今後の展開

今回はニュージェネレーションズとラブライカにスポットを当てた回で、最後には未央がソロデビューを決めたりと節目の回にふさわしい話数となりましたが、ただブログではアイドルから一歩離れて、プロデューサーにスポットを当てて感想をつらつらと書いてみました。

 

・プロデューサーと美城常務の19話までの対立構図

シンデレラガールズでは2ndシーズンになってから、アイドル事業部に突然やってきて事業の立て直しを図る美城常務と、CPをはじめとする現場のアイドルの対立を描いてきました。構図としては美城常務をプロジェクトをつぶそうとする悪役として描かれ、それにプロジェクト存続を賭けて立ち向かうプロデューサーいうものになっていたわけです。
急進的な改革を進めるあまり15話では楓に、19話では夏樹に企画を蹴られてしまった美城常務と、お笑い組や夏樹を引き込みつつ冬の祭典への準備をゆっくりながら着実に進めていくプロデューサーの対比はわかりやすくそれを示しています。実際、視聴者の反応をみても常務が無能と言われたり、そのやりかたに疑問を呈す声も多かったですしね。*1 

・利己的な人物として描かれるプロデューサー

ですが、今回の20話では、美城常務が立ち上げたProject:Kroneによってその二項対立的な構図がガラッと変化します。
少しずつ視点が客観的になって、プロデューサーの利己的な面が描かれていきます。

冒頭の秋の定例ライブの命令への対応が印象的ですね。
美城常務によるProject:Kroneに渋谷凛とアナスタシアを入れようという提案に、アイドルが返答する前に「あくまでCPがあるのでそれは」と我先に反対するプロデューサーは、それゆえに美城常務に「個性を尊重するのが君の方針だったと思うのだが」と言いくるめられてしまいます。
この後のシーンでも、部長に「二人にとって決して悪い話ではないと思いましたので」とこぼす台詞からもわかるように、不満はあるけれど言い分もわかるから一応従っているという感じがあります。また、アナスタシアからの相談に「気が進まないのであれば……」と不参加を予想して確認していることからも、明確に本編で述べられているわけではありませんが、アナスタシア・凛が常務の誘いを断ってくれるのではと期待していた部分があったように思われます。

・二項対立構図の変化

上記のようなプロデューサーの利己的な側面が出るシーンを踏まえると、悪役:常務、ヒーロー役:プロデューサーという構図が疑わしくなってきます。プロデューサーは、CPに固執することがアイドルたちの成長を妨げているのではないか、という美城常務の問いに答えることができませんでした。自分の考えが、やりかたが正しいのかどうかを見定められなかったからだと思われますが、その限り、むしろアイドルたちの悪役は彼であり、ヒーロー役が美城常務になる可能性もあり得るわけです。

・プロデューサーを導くアイドル

その曖昧な姿勢を変化させるのが、自身のプロジェクトで、自身が導いてきたアイドルである凛とアナスタシアでした。
凛はあまり笑うこと自体が少ないキャラクターですが、加蓮と奈緒のトライアドプリムスの3人で歌っているときの表情は、印象に残るものでした。結果としてこれがきっかけで、凛はトライアドプリムスへの加入を決定することになりますが、プロデューサーもこれを目撃します。

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その後のシーンで、プロデューサーは夏フェスの写真を見つめてなにかを考えてる様子が描かれます。この時点ではどうするかを決めきれていない、おそらくアイドルの意志を尊重するか、CPとしての現在の形を維持し続けるかのはざまにあるのだと思われますが、その姿は不安なこと、新しいことに踏み出すことに葛藤するアイドルの姿と被ります。

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そしてその意思を確定させたのが、アナスタシアとの対話でした。相談を持ちかけてきたアナスタシアに、まずプロデューサーは「気が進まないのであれば……」と確認しますが、それを彼女は否定します。アナスタシアもまた、他のメンバーが先に進んでいること、12話合宿回の美波の「一歩踏み出してよかった」まだわからない、不安だけれど、冒険してよかったという告白を思い出して、自分も同じように、新しいことに挑戦したいとソロデビューを決めたことをプロデューサーに告げます。それを聞いて、プロデューサーはProject:Kroneとして新しい一歩を踏み出そうとするアイドルの意志を尊重することを決意します。

・笑顔が失われない場所

プロデューサーはアナスタシアとの会話の中で、「あなたは、今度のプロジェクトに参加して笑顔になれると思いますか?」と問うた上で、「それがどんな道であっても、乗り越えた先に笑顔になれる可能性を感じたなら、前に進んでほしいと、私は思います」「あの時の笑顔の、もう一歩先をみつけられると思うのでしたら……、私は全力でその道をサポートします」と言ってみせます。
この発言は、CPの存続を賭けて美城常務と対立するのではなく、「笑顔が失われない場所こそが、彼女たちの城になると、私は思います」というNo_makeでの台詞通り、現在のCPに固執することなく、「笑顔が失われない場所」をつくることを決めたことを決意したもので、2ndシーズンでのプロデューサーの立ち位置を明確にする大切なシーンだったと思います。

・島村卯月と今後の展開

とはいえその決意の裏側では、今回のトライアドプリムスへの凛の参加によって、ニュージェネレーションズのメンバーのなかには亀裂が入ってしまいました。特に卯月はある意味で宙ぶらりんの状態で、笑顔も曇ってしまっています。凛のトライアドプリムスの参加、未央のソロデビューは、さすがに自分が頑張れば済むことではありません。

ただしもともと卯月には、自分に対する自信のなさのような問題があるように思います。6話の段階で彼女は、インタビューもダンスもラジオも、ライブ前ですら、他の2人の力があったからこそ乗り越えることができました。だからこそ主体性の持った行動ができない、行動や意見に関して他者に共感し、依存してしまう弱さのようなものがありました。そして今回も、凛からトライアドプリムスへの加入についての告白に、なにも言えなかったように。

今後の展開としては、凛はもちろん、未央もソロ活動を始めたために、秋の定例ライブでは卯月はソロか美波・蘭子とのユニットでの活動が予想されます。

私は恐らくソロ活動になると思っています。というかソロで活動しなければならないとさえも。そしてすごい個人的な願望を言えば、ソロでS(mile)ING!を歌ってほしい。

卯月に足りないのは、自分の意見の地盤になるものです。秋の定例ライブまでに得なければならないもので、そしてそれはユニット活動やプロジェクト全体の活動ではなく、ソロでの活動によって、自分自身の手によって築き上げなければならないものでしょう。それこそがプロデューサーが目指している場所の一端である、島村卯月にとっての「笑顔が失われない場所」に必要なものであると思います。

・終わりに 

本当はNGsとラブライカの対比、未央*2 と卯月についての記事を書く予定だったのが、前置きでプロデューサーのこと書いてたら長くなってしまったので独立した記事にしました。というか21話当日になってしまいました。うづりん回なのからんみな回、どっちなんだろうか……。

そこそこ長くなりましたが、ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。

 以上、感想でした。

 

関連過去記事

6話の卯月について

ga-mi.hatenablog.com

 

*1:とはいえ実際のところ、やっぱり有能だったわけです。20話のNo_make(ちなみに今回のNo_makeは20話最後の、朝礼のシーン前の部長とプロデューサーとの会話)でも触れられていますが、アイドル事業部でもそれ以外の部署でも美城常務が戻ってきてから、かなり業績も社員の士気も上昇傾向にある様子です。

*2:ちゃんみおに関してはほとんど触れてないんですが、協調性はともかくとして、すげえ成長したなあ……いうことないなあ……と思って触れてません。