歯痛がひどいblog

とくに歯痛については書きませんが日々歯痛に悩まされる人が書いているブログです。たぶんアニメとか読んだ本の感想が中心になってくると思います。

「マルドゥック・スクランブル」冲方丁は黒丸尚の影響を受けているのか

さて、マルドゥック・アノニマスの連載が始まって、マルドゥック・ヴェロシティの漫画化が決まってということでマルドゥック・スクランブル及びに冲方丁wikipediaをぱらぱらっとみていたのですが、気になる記述を見かけました。

 

マルドゥック・スクランブルwikipedia曰く

サイバーパンクを強く意識した作品で、黒丸尚によるウィリアム・ギブソン作品の翻訳文体を取り入れている。古典SF作品を彷彿とさせるシーンも多い。登場する人物の名前は卵がモチーフである

マルドゥック・スクランブル - Wikipedia

とあり、

冲方丁wikipedia曰く

SF界隈での評価を高めた『マルドゥック・スクランブル』は黒丸尚による翻訳作品を意識した文体が用いられており、とりわけ終盤のギャンブルシーンの描写は絶賛されている。一方、前日譚である『マルドゥック・ヴェロシティ』では、記号の「/」や「=」を用いた「クランチ文体」が使用されており、異常な人格・おどろおどろしい風体を持ったサイボーグによる能力バトルが繰り広げられるというジェイムズ・エルロイ山田風太郎を意識したものとなっている。

冲方丁 - Wikipedia 

とあります。

いずれのマルドゥック・スクランブルについての記載には

冲方丁マルドゥック・スクランブルは、黒丸尚による翻訳文体を意識している。

という共通点があります。

たぶん同じ人が書いたのだと思うのですが、これは本当なのでしょうか。

 

反論 

これには冲方丁本人が、インタビューにて以下のような回答を行っています。

――冲方さんの作品は、サイバーパンク系のSFとも言われると思うのですが。
冲方:そう言われて、あ、そうなんだ、と思って、サイバーパンクの代表的な作品であるウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』も読んだのですが、何が言いたいのかさっぱり分からなくて。ここらへんが似ているんだろうなと思う部分もあったんですが、とにかく文章が、昔自分が頑張って日本語訳したものを思い出して心が痛くて(笑)。SFのジャンルがどうのといったこととはまったく違うところで痛みを感じてしまうので、あれは読めないんです。
第99回:冲方丁さんその5「4つの媒体を経験」 - 作家の読書道 | WEB本の雑誌

 言葉通り読めば翻訳文体を取り入れたというよりは、ただ単に冲方丁黒丸尚の文体が似ているだけと考えるのが自然だと思います。

 

なんで誤解が生まれたのか

このインタビューやその他インタビュー、言わずもがなwikipediaにも書いてあることですが、11~13歳のころまでほとんどを海外で過ごしたという経験、そして日本語に翻訳されたものを書き写す・自分で翻訳するといった経験からそこに至ったという感じなのでしょう。

翻訳文体っぽいのは確かかなと。(以下参照)

 サイバーパンクという言葉は知っていたのですが、具体的にどういうものなのか分かっていませんでした。『マルドゥック』がSF大賞を受賞してのち、初めて、ああ、こういうのがサイバーパンクかと理解しました。
 「凝り性(アーティスト)」とかいった表現も、サイバーパンクの何それの踏襲だろうと、よく言われるんですが、それもよく分かってなかったです。単に海外で思春期を過ごしたせいで、言語感覚が二重というか、英語と日本語が混ざって思考してるだけでして…。

著者インタビュー:冲方丁先生

 

ただ検索してばばっとみてみると、SFを好んで読んでいる人にとっては翻訳文体(を感じさせる文章)自体がわりとギブソン(と翻訳の黒丸尚)を連想させるようで、多くの媒体で関連性を持たせて記述しているものが見られました。

 

締めとして

そこらへんが

冲方丁マルドゥック・スクランブルは、黒丸尚による翻訳文体を意識している。

となった原因なのかなと思います。

 とはいえ、どこかに出典があるかもしれないので確実には言えませんが……。

ただし、wikipediaの方には出典表記がなかったのでおそらく間違いないんじゃないかと。

 

教訓

・あんまりwikipediaを参考にしすぎない

・出典を確認しよう

冲方丁のインタビューを読もう

というわけで以上です。

黒丸尚の影響を受けているという出典をご存知の方、かなり知りたいので教えていただけると嬉しいです。

あと冲方先生のインタビューはどれも面白いのでオススメです!