歯痛がひどいblog

とくに歯痛については書きませんが日々歯痛に悩まされる人が書いているブログです。たぶんアニメとか読んだ本の感想が中心になってくると思います。

幻想再帰のアリュージョニスト、その感想

 

最近(これは作者名とかけているわけではないけれど)話題の、「小説家になろう」で連載されている『幻想再帰のアリュージョニスト』を読みました。

 

幻想再帰のアリュージョニスト[小説情報]

 

あらすじはこんな感じ。

”異世界転生保険とは契約者本人を受取人として、保険量(インシュランス・クオンタム)である新たな人生を給付する制度である。無事支払い条件を満たしていたのはいいが、新たな世界で目を覚ますと何やら開幕から左手を怪物に食い千切られているという大惨事。おまけに原因不明のトラブルで言葉も通じないわ、現代日本の技術を異世界に持ち込んでしまうわで第二の人生は開始早々に前途多難。戦わなければ生き残れない仄暗い迷宮で、片腕を失った男は現代日本の技術を駆使して戦うことを決意する。現代日本の技術――すなわち、サイバネティクスの粋を集めた、機械義肢とサイバーカラテを。”

 

あらすじだけみると、サイバーパンク系SFを持ち込んだ異世界転生ものなのかなと、そんな印象を受けました。ウェブ小説にありがちな感じだなあ、とか思っていました。

話題というだけでそんなに期待せずに、糞だったら糞というつもりで読み始めました。

 

結果、かなり表面をなぞるように読んでも三日三晩かかりました。死ぬかと思った。

わりと生活を投げ捨てていましたが、しかしそれほど面白かった、話に引き込まれたというのも事実。というわけで以下雑文ですが感想です。

 

感想、あるいは好きになったところのひとつとしての「設定」

読み始めてすぐに感じたのは、異常な設定の波。というか濁流というか津波というか、兎に角、言語ひとつにもバックグラウンドが存在するかのような情報の波でした。世界観はごちゃまぜ、あらすじのサイバーパンク観と異世界を調和させ、現代思想、言語統制もろもろの設定に整合性を付けていく。

 

率直に「なんだこれは」と思いました。

あまりにもごった煮、芋煮、いやあんこう鍋、石狩鍋かそれとも安直に闇鍋か。既存の設定を参照にしつつ*1、かつ著者らしい設定を付与して物語として整合性を保っていくバランス感覚は計算されつくした闇鍋。

うまい闇鍋というのはほんとうに正しい闇鍋なのかとも思いますが、しかし闇鍋そのものの何が入っているかわからないという性質を維持したまま、美味しい、おもしろいと思わせるのはこの作品の肝だなと思います。

 

かつ面白いのは、ほとんどすべての行動や言葉に意味づけを行っているという部分。

言語ひとつとっても意味付けが独自に解釈され、意味づけされ、物語のなかで説明されます。そして意味づけが物語のなかで登場するということは、そのすべてが伏線として機能し得るのです。

 

少しでも読んで気になる設定があれば、基本的に物語に干渉してくるのは確定なのでぱらっと見てみるのもおすすめですね。

 

どの伏線が物語を牽引するのか、どの要素がいつ物語に影響を与えるのか。わからないから先が読めない、それが面白い。*2

 

ウェブ小説特有(?)の「ストーリー」

ストーリーの大枠としてはダークファンタジ―の王道であろうと思います。私はなんでも王道という癖があるのでなんとも言えませんが、ダブル主人公、世界を救う等々王道要素たっぷりで、ある種凡庸で、それだけであれば凡作であるともいえます。

 ただ驚くべきは前述したような多岐にわたる設定、それを管理した上でそのストーリーを動かしていく能力、読者を楽しませる力です。

 

ある意味、ゲームに近いかもしれません。トライ&エラーのできない小説という媒体でのRPG。ただし、ゲームと違って読者による選択がない、それゆえに膨大な会話/多大なモノローグ=無数の伏線あるいは設定が盛り込まれる。

おそらくそれは、商業向けの作品では難しいものです。普通であればカットされるであろう設定群、それをふんだんに盛り込んでストーリーで形を整えていく。

 

それは筆者にその意思さえあれば、無限に物語を紡ぐことができるウェブ小説だからこそ、終わりが見えない、先が読めない展開を形づくれているのかなと思います。

 

その他雑多な感想 

難点としてはヴィジュアル化しにくいということでしょうか。

ヒロイン二人がほぼほぼ人外というかほとんど人外なので、ファンアートとか生まれにくいなと。

まあトリシューラなんかはTo heartのマルチよろしく二次元キャラクターらしいデザインでもよいとは思うのですが、世界観的にどちらかといえばリアルタッチの方がおそらく好ましい、と思ってしまう作品です。

 

と、以上がとりあえず読後感に打ちのめされて書いた感想なのですが、いまいちなんとも言えない感じになってしまいました。ネタバレしないようにした結果あまり本筋を抑えられていないような気がします。

語るに落ちる、といった感じですね。

 

とはいえこれ以上書いてもさらに雑文をまき散らす結果となる予感しかしないので、こんなところで。

 

 

*1:設定はこちらを参照先とするようです ゆらぎの神話 ポータル とはいえこれらの設定をかみ砕き自らの作品に組み込むのは相当骨が折れるのは想像に難くない

*2:設定がわからなくなったーーとかいう場合には

幻想再帰のアリュージョニストWiki Wiki* を参考にして読み進めるとよさそうですね。すごく便利

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